命令恋愛
「大丈夫だよ美世。あたしたちが手助けするんだから」


あたしはそう言って美世の手を握りしめた。


久しぶりに会ったあの日から、随分と痩せてしまっているように見えた。


それはきっとみんな同じだった。


命令が過激になればなるほど、ご飯も喉を通らなくなる。


普段の生活がままらなくなっていく。


ふと、達治もこんな状態だったのではないかと考える事があった。


毎日毎日繰り返されるイジメに心は疲弊し、自分の生活を送る事もできなくなることはあると思う。


「あ……」


美世が小さく呟いた時、美世のスマホ上にキャラクターが現れた。


命令を伝えるために、また勝手に起動されたようだ。


「俺のために死んでよ」


ニコニコとほほ笑みながら言うキャラクター。
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