命令恋愛
「チヒロは両親に似て正義感が強くてさ、罪人を裁くためにいろいろと考えてくれたよ」


罪人と言う言葉が胸に突き刺さる。


達治からすれば、あたしもその1人なのだ。


「そんな時に俺の両親がゲーム会社を作る事が決まって、絶対に逃げることのできない恐怖のゲームを作る事が決まったんだ。俺の怨みが籠ったゲームが、こんなに上手く行くとは思わなかったけどな」


「このゲームを今すぐ止めて!」


千秋が自分のスマホを達治の眼前にかざして叫んだ。


「まぁまぁ落ち着けよ。ゲームのキャラがなにか言いたそうにしてるぞ?」


達治がそう言った次の瞬間だった。


「俺のために死んでよ」


千秋のスマホから、そんな声が聞こえて来たのだ。


千秋が青ざめて画面を確認する。


ゲームのキャラクターが満面の笑みでこちらを見て、手には包丁が握りしめられていた。
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