命令恋愛
でもそれは別れたことを認めたワケじゃない。


あたしは今でも京太のことが好きだった。


けれど、それ以上に恭介にかける時間が増えていたのだ。


京太のお弁当を作る時間に恭介と会い、京太の後を追い掛ける時間に恭介と談話する。


そんな生活に変化しつつあった。


「最近恭介との会話が面白くて、つい夜更かししちゃうんだよね」


「恭介?」


首を傾げてそう聞いてくる香菜美に、あたしはスマホゲームを起動して見せた。


「これ、チヒロに進められてやりはじめたゲーム?」


「うん。恭介って言うの」


恭介は画面の中でニコニコとほほ笑んでいる。


「へぇ、面白いんだ?」


「まぁまぁかなぁ」
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