命令恋愛
まだまだ楽しくて仕方のない時期のはずだ。


それなのに京太は一体なにを言っているのだろうか。


『冗談だよね?』


京太の顔を伺うようにしてそう聞くと、京太は『本気だから』と言い放った。


あたしはようやくファスナーから手を離して、うつむいた。


どうやら冗談でもなんでもないようだ。


キュッと唇を引き結び、大きく深呼吸をする。


どうしてこんなことになったんだろう?


あたしは、京太に嫌われるようなことをしただろうか?


記憶を呼び起こしてみても、全然思い当たることがなかった。


と、いうことは……。
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