命令恋愛
☆☆☆

学校の校門が見えた時、後ろから誰かが走って来る足音が聞こえて来た。


急いでいるのかな?


そう思い、横へ体を避けた時だった。


「あの、鎌田先輩!」


という声が聞こえてきて、あたしは振り向いた。


立っていたのは見知らぬ男子生徒だ。


あたしのことを先輩と呼ぶと言う事は、1年生なのだろう。


なにやらすごく緊張している様子が伝わって来た。


「はい……?」


「あの、ちょっとお話があるんですけど、いいですか?」


「いいけど、君は?」


「あ、俺、1年A組の田中勇気って言います」


田中勇気君か。


聞いたことのない名前だ。
< 44 / 316 >

この作品をシェア

pagetop