命令恋愛
「話ってなに?」


「あの、俺、入学してからずっと鎌田先輩のことが好きでした! 付き合ってください!」


真っ赤な顔でそう言い、頭を下げて来る田中君。


まさか告白されるなんて思っていなかったあたしは、キョトンとしてその場に棒立ちになってしまった。


あちこちから冷やかしの声が聞こえてきて、ようやく我に返る。


「ちょっと、頭上げて」


とにかく、ここじゃ話なんてできない。


登校中の生徒たちでごった返しているのだから。


田中君もようやく周囲の状況に気が付いたようで、慌てふためいている。
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