命令恋愛
☆☆☆

C組の教室へ入ると、いつかの時と同じように、香菜美が駆け寄って来た。


今日はどこか嬉しそうな表情だ。


「そんなに慌ててどうしたの?」


「どうしたの? じゃないよ優奈。さっき校門のところで呼び止められてたでしょ? 窓から見てたよ!」


そう言い、あたしの周りをウサギのようにピョンピョンと飛び跳ねる香菜美。


なにがそんなに嬉しいのかわからないけれど、元気そうで良かった。


「うん。1年生の田中君だってさ」


そう返事をして、自分の席に座りさっそくスマホを取り出した。


「もしかして、告白された!?」


田中君はあれだけ真っ赤になっていたのだ、遠くから見ていてもわかったのだろう。


「うん。まぁね」


「ちょっと恋愛ゲームなんて後にして、結果を聞かせてよ!」


「結果?」


あたしはスマホから顔をあげ、香菜美を見つめて首を傾げた。
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