命令恋愛
あたしは顔を上げて京太を見つめた。


京太は居心地が悪そうに視線を逸らせる。


『他に好きな人でもできた?』


もう、それしか考えられなかった。


『いや、そうじゃないけど……』


目をそらせたままそう返事をする京太。


その態度はあたしの質問を肯定しているようなものだった。


京太の顔には後ろめたさがにじみ出ている。


『誰?』


『は? だから、違うって言ってるだろ?』


京太が驚いた顔をこちらへ向ける。


けれど、あたしはそれを信用しなかった。


こんなの演技に決まっている。


だって、あたしが筐体に振られる理由がないもん。
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