命令恋愛
そう思った時だった、スマホが1回だけ震えた。


これはアプリの通知を意味している。


あたしは歩道の横で立ち止まり画面を確認した。


⦅イケメンの言うとおり♪⦆からの通知が来ている。


新しいイベントが始まったようだ。


あたしは人目も忘れてゲームを起動させた。


その瞬間……「なに、泣いてんだよ?」


画面の中の恭介が、そう言ったのだ。


あたしは瞬きをして恭介を見つめる。


恭介はまるであたしが見えているかのような態度で、こちらを見ている。


「なぁんだ、花粉症かよ。驚かせるなよ」


そう言ってクシュッと笑顔を浮かべる恭介。


あぁ、こういうシーンだったんだ。


そう理解して、ホッと胸をなで下ろす。
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