命令恋愛
まるで、現実のあたしに話かけてきているような感覚がして、びっくりした。


「ほら、いい加減泣き止めよ」


そう言ってユウナの頭を少し乱暴に撫でる恭介を見ていると、このモデルに会いたい気持ちが湧き上がって来る。


さっきまでの振られたショックなんて、いつの間にか消え去っていた。


この状況と恭介のセリフが偶然一致しただけ。


それなのに、あたしの心臓は早鐘のように打ち始めていた。


恭介はこのアプリと通して、本当にあたしの顔が見えているんじゃないか?


泣いているあたしを見たから、花粉症なんてシーンを作り上げて慰めてくれたんじゃないか?


そんな風に考えてしまう。


「ありがとう恭介……」


「なに言ってんだよ。礼なんていいんだよ」


恭介はそう言い、ユウナの頭をポンポンと撫でた。
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