命令恋愛
「ゲーム、どのくらい進んでるの?」


もし、あたしより先に進んでいたら?


チヒロが先に攻略してしまうと、あたしは恭介のモデルに会えないことになってしまう!


そんな焦りで、手のひらに汗が滲んだ。


「今、恭介と2人で花火大会に行ったところ。花火のイラストがリアルで綺麗だよ?」


「花火大会……?」


ということは、チヒロのゲームはすでに夏休みのイベントに突入しているということだ。


「そうだよ? 優奈はまだ夏休み前?」


「うん……」


今までにトータル7万円は課金をしてゲームを勧めているのに、チヒロに負けるなんて……!


「それじゃあたしの方が先に攻略しそうだね。恭介のモデルなら絶対にカッコいいよね、楽しみだなぁ」


浮かれてそう言うチヒロを、あたしはこっそり睨み付けた。
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