命令恋愛
忘れられない
誰よりも早くゲームを攻略する。


その目的は変わっていなかったけれど、あたしは香菜美の前ではゲームを起動させないようにしていた。


香菜美と喧嘩をするのはもちろん嫌だし、自分にも悪いところがあったと気が付いたからだ。


「次の体育めんどくさいねぇ」


休憩時間になり、香菜美が体操着を体育館シューズを持って近づいて来た。


「ほんと、今日はバスケだっけ?」


正直運動はそれほど得意じゃなかった。


香菜美もどちらかといえば体育が苦手なので、こういう時あたしたちは気が合う。


「いっそ休めたらいいのにね」


そんなことを言いながらも香菜美はサボるようなことはしない。


文句を言っても、やるべきことはやる子だった。


あたしも、そんな香菜美を少しは見習わないといけないかもしれない。
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