愛と命の代償(仮)
私は仕事終わりにいきつけのコーヒーショップがある。
そこでいつもホットコーヒーとホットドッグを注文して、窓側のカウンター席に座る。

学生時代から通っており、今では常連さん。憧れの「いつものやつを」のセリフも言う必要がなくなったほど。


和人と入籍する前の話。
12月に入ったばかりのころ────

いつもはブラックだけど、仕事や家庭のことでブルーな日は、ミルクを多めに入れる。そういう日は自分に少し甘くしたくなる、そんな日だった。

コーヒーを飲み終えて、だんだん日が長くなってきた紺色の空を見上げながら帰路につく。

「今日はドリアにしようかな。チーズを買って帰らないと…」

「あれ?ひな?」

車に乗り込もうとしたところに、誰かに呼び止められる。
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