はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
真っ直ぐ見つめられるが、私は逆に見れなくて、視線を窓へと動かした。


「あ、雨降ってきましたね」


窓に雨粒が当たっている。午前中は晴れ間もあったが、徐々に雲が厚くなってきていた。明日は雨との予報だったが、早く降り始めたようだ。

雨の音は聞こえないが、導かれるように窓に体を寄せて、カーテンを開けた。雨で夜景はぼんやりとして見れるが、少し幻想的でこれもまたきれいだ。


「藍果ちゃん」

「な、何ですか?」


後ろから肩に手が置かれて、私は体をビクッとさせた。夜景や雨が見える窓ではあるが、私と背後にいる支配人がうっすらと映っている。


「もしかして、避けている? 馴れ馴れしすぎたかな? あ、ごめん。今も触ってしまって」

「いえ、避けていないです。触られるのが嫌でもないです。嫌というよりも……」

「も?」


肩から手を離されたのが寂しく感じ、くるりと支配人に向き合った。彼は言葉を続きを待っていた。

離された手を今度は私から掴む。支配人は変わらず私を見つめている。


「触れていたいです。私に触れてくれますか?」

「えっ?」
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