はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「ごめん! 実は約束していて」

「ん? 約束?」

「うん。あ、お疲れ様です」

「えっ? あ……お疲れ様です」

「横川さんも終わったんだね。お疲れ様。じゃあ、行こうか」


彩音が約束していたのは、片瀬さんでふたりは私に手を降って、駅とは反対方向に歩いて行った。

なぜふたりが一緒に?

片瀬さんは彼女がいると聞いているけど、ただご飯を食べに行くだけなのだろうか?

不思議に思っていると、スマホが着信を知らせる。画面には『玲司さん』との表示。


「はい、もしもし」

『お疲れ様。もう帰った?』

「今、帰るとこで駅へと歩いています」

『まだその辺にいるんだね。ちょっとこっちまで来れる?』

「はい、行けますよ」


私が思ったこっちとは支配人室だったが、玲司さんの言うこっちは彼のマンションだった。

マンションの場所は分かるけど、行くのは初めてだ。エントランスで待っていてくれると言うので、早足で歩いた。

近くまで行くと玲司さんの姿が見えたが、浮かれて早く来たと思われるのが恥ずかしくなり、スピードダウンさせる。
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