はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
私の姿に気付いた玲司さんか、右手をあげる。私はときめいた胸に手を当ててから、小さく手を振った。

今日は二回も会えるなんて、ラッキーだ。


「お疲れ様です。今日はもう帰っていたんですね」

「藍果もお疲れ様。たまには早くに帰るよ」

「ありがとうございます」


玲司さんはサッと私のバッグを右手で持ち、左手は私の右手を握った。スマートな行動にまたときめいて、握られた手の温もりに口元が緩む。


「来てくれて、ありがとう。疲れているかなと思ったけど、会いたかったから嬉しい」

「私も嬉しいです」


素直に気持ちを伝えるとエレベーターの中で、繋いでいた手を離して、肩を抱かれる。より縮まる距離により嬉しくなる。

もしかして、今日も……と玲司さんに絶対知られたくなる妄想が脳内に浮かんできて、私は頬を赤らめた。


「あれ? 顔赤いね。大丈夫?」


気付かれたのは顔の赤さ。すぐ赤くなってしまうこの顔をなんとかしたい。方法はないものだろうか。


「今日、少し暑いですよね? 急いで来たから、体が熱くなってしまいました」

「なるほど。急いでくれて、ありがとう」

「あ、はい」
< 115 / 168 >

この作品をシェア

pagetop