はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「なんで端っこにいるの? こっちおいで」


ポンと叩かれた彼の隣にちょこんと移動する。彼はまた笑って、私の背中に軽く触れるた。


「緊張してる? らくにして」

「はい、してます。はい、ありがとうございます」


返事をしても、肩の力が抜けない。固まる私を玲司さんが抱き寄せて、「藍果」と耳元で呼ぶ。目だけを彼の方に動かすと優しい眼差しで見つめる目と合う。


「じっと俺を見てて」

「はい……ん、んっ……」


言われた通りじっと見つめると彼の唇が私の唇に触れた。すぐに彼の舌が入ってきて、私の舌をとらえる。

長く濃厚なキスに力が抜けていく。玲司さんは私の後頭部と背中をしっかり支えていた。


「力が抜けたみたいだね。そんなとろんとした目で見つめられると先に藍果を食べたくなる」

「わ……、私を食べる?」


私は食べ物じゃないのに。

ぼんやりする思考の中で、食べるの意味を考える。


「つまり抱きたくなるってことだよ。本当にかわいすぎて、堪らないね」

「えっ、あー、そういう意味で……ええっ!」

「おっ、正気に戻った?」

「もう! 玲司さんったら、なにを言うんですか……」
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