はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
視線の感じた方向に顔を動かし、そこにいた人物を見た瞬間、胸が高鳴った。

支配人だと彼を見るが、彼は私と目が合うとスッと視線を逸らした。

しかし、エレベーター近くにいた支配人はこちらへ向かってきた。


「高梨支配人、おはようございます」

「おはようございます」

「おはようございます」


支配人の存在に気付いた大沢チーフが頭を下げると、私たち三人も同じように頭を下げた。

胸はドキドキしているが、この胸の高鳴りが嬉しさからなのか緊張からなのか判別しかねる。


「こちらの三名が今日から研修に入ります。右から石田くんに、仲村さん、横川さんです」


大沢チーフが紹介してくれたあと、揃って「よろしくお願いします」とまた頭を下げた。


「覚えることが多いとは思うけど、しっかり覚えてがんばってね」

「はい! ありがとうございます!」


石田くんが真っ先に大きな声で返事をした。私と彩音その後、ほぼ同時に返事をする。支配人は優しく微笑んでから、フロントを離れていく。

ああ……行ってしまう。
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