はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
支配人からいろんな話を聞くのは初めてだし、真っ直ぐと見つめられるのも初めてのようなもの。

業務で話をするのとは全然違うから、私も違う自分を見せられる。

だから、話したいと思っていたあのこともきっと話せる。


「あの、話をしてもいいですか? 聞いてくれますか?」

「何でも聞くけど、何か困ったことでもあった?」

「いえ、仕事とは全然関係のないことなんですけど」

「ああ、いいよ。何でも話して」


私は肩の力を少し抜いて、バッグから白い封筒を取り出した。この中に支配人と写っている写真が入っている。

支配人は何も言わずに、私の話を待ってくれていた。


「実は私がホテルで働きたいと思うようになったきっかけが支配人との出逢いなんです」

「えっ、俺との?」

「はい、七年前で私は中学生だったんですけど。この写真を見てください」


封筒から一枚の写真を出して、支配人の前に置いた。彼はその写真を手に取って、写真と私を見比べる。


「えっ、この時の子が横川さん? あ、言われてみれば面影が……」

「はい、私です。かなり前のことですし、覚えていないですよね?」
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