はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
彩音の言おうとすることが分かってしまう。私たちはお互いに察しがいいのかも。

ひとり心の中で苦笑していると、彩音はもっと真剣な顔をしていた。なにかまずいことでもあったかと不安になる。

私を見つめる目が怖いくらい真っ直ぐだ。


「藍果が誰を好きになるかは自由で周りが止められるものではないけど、将来社長になるのいうレールが敷かれている人とは家柄的に合わないんじゃないかな。藍果がダメというんじゃなくて、生まれた世界が最初から違うというか」

「彩音の言いたいことは分かる。でもね、自分でも支配人に対する気持ちはハッキリしていないの。私がホテル勤務を目指すきっかけは七年前だったけど、それが好きとは繋がらない。彩音が会いたいと願う人に対する気持ちとは違うんだなと改めて感じたし」


彩音が心配してくれるのは素直に嬉しいけど、まだハッキリと答えられる気持ちがないのは事実。

支配人に対する気持ちは憧れのようなものだ。たまにドキドキしてしまうけど、それは支配人が優しいだけだから。

彼は誰に対しても誠実で優しい。
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