はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
彩音と話していて、自分だけが特別ではないと認識する。誰にでも優しい人だから、私にだけ優しいのではない。

勘違いしてはいけない。


「ねえ。支配人、すぐ藍果のこと分かったの?」

「ううん、分かったのは写真を見せたからで……ちょっと待って」


私は、まだバッグに入れたままだった写真を彩音に見せる。

彩音はすぐ手に取って、パッと目を輝かせた


「わあ、藍果かわいい! 支配人も若い!」

「うん、七年も前だからね」

「この頃の支配人は今の私たちくらいだよね? 社会人になったばかりなのに、すごいしっかりしているように見える」


感心する彩音に、うんうんと同意した。見えるだけでなく、実際しっかりしていて頼れる人だった。

この時は大人だからと思っていたが、今考えると確かにまだ社会人経験が浅い頃だ。いずれトップに立つという責任感もあって、堂々としていたのかもしれない。

ただ堂々としているだけでなく、きめ細かな気配りも出来ていて、今思っても見習いたくなる人だ。

支配人のようになるには簡単ではないだろうけど、ホテルに来てくれたお客様が気持ちよく過ごせるようにしたい。
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