甘いピンク色の心
俺は、分かったよ、というように数度頷くと、琴音は急に涙を出した。
「ごめんなさい! 初恋の人思い出して、チクンってなっちゃったの」
琴音は涙を拭って肩を震わせながら叫んだ。
「でも、初恋は実らないからね。しょうがないよね」
琴音はそう言っているけれど、強がっているのがわかる。苦しいに決まっている。
俺は、琴音を家に上がらせて、ぎゅっと抱きしめた。
琴音は初恋のことを少しずつ俺に話してくれた。
琴音が告白をしてマカロンを渡しても、初恋の男は『悪いけど、これ、自分で食ってくんねえか?』と言って拒否し、彼女の胸に押し付けたらしい。
琴音が戸惑っていると、男は『お前が俺のこと好きになったのは、別にいいけど。お前、対して俺と仲良くないし』と言い捨てて、振り向かず去っていったのだ。
やはり付き合うというのは、親しくなってからというのが良かったんだと思う、と琴音は言っていた。