俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
俺の心臓は、ドクンと跳ねる。会議の休憩中に、しょっ中フローレンスたちが出していた名前だ。

「ロビン…」

そこには、ロビン・ターナーがいた。軍服ではなくシックな落ち着いた服装。レースやリボンで飾られた甘い服装をよくするクリスタルとは真逆だ。

「お前、軍人とはいえ今は夜中だぞ!家まで送るから早く帰れ!」

俺がそう言うと、「大丈夫。それより一緒に来てほしい場所があるんだ」とロビンは優しく笑う。きっと戦場では、こんな風に笑うことなんてないのだろう。

「どこにいくつもりなんだ?」

俺が訊ねると、ロビンは「こっち」と手を引っ張った。

ロビンと夜の街を歩く。夜の街は誰もいない。歩きながらたわいもない話をした。

「モリーさん、元気にしてる?」

「ああ、元気だった」

「孤児院は相変わらず賑やか?」

「ああ、とても賑やかで忙しそうだ」

そんなことを話していると、公園に着いた。もちろん誰もいない。

俺たちはベンチに座る。夜風が頰を撫でていった。

「ここがお前の来たかった場所か?」

俺が訊ねると、「覚えてないのか?」とロビンは笑う。

「よくここで遊んだだろ?」

ロビンはそう言ってブランコに飛び乗った。俺の頭の中に記憶が蘇る。

「そうか、孤児院を抜け出してここに来たな…」
< 10 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop