俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
何が起こったのか、一瞬ではわからなかった。俺はただ、時を止められたかのようにその場に立っていることしかできなかった。
宙を舞う赤い花、驚き目を見開くジャック、そして……俺の目の前で崩れ落ちるクリスタルの体。
「クリスタル!!」
俺は叫ぶ。そして、地面に倒れたクリスタルの様子を確認した。
地面にクリスタルの血が広がっている。目の前で起きたことが嘘であってほしかった。
クリスタルは、俺を庇ったのだ。ジャックの放った銃弾から。
触れた手は、驚くほど温かい。ジャックの嗤い声は耳に届かなかった。