俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
「やっと思い出したか!」

ロビンは笑いながらブランコを思い切り漕ぐ。ロビンの髪が風でふわりと舞い上がった。

「リーバスも漕ぎなよ〜」

ロビンは無邪気に笑う。孤児院でよく見せてくれた懐かしい笑顔。

「いや、俺はいい」

俺は微笑みながら言った。

しばらくロビンはブランコを漕いだ後、俺の隣にまた座る。そして俺の肩にもたれかかった。

「私がこうして笑えるのは、リーバスの前だけだ」

その表情はとても穏やかで、今のロビンを見た人々は誰も彼女を軍人とは思わないだろう。

ロビンは「あ!」と言って、持って来ていたかばんの中から小さなバスケットを出し、俺に渡す。

「これは?」

俺が訊ねると、ロビンが「開けてみて」と微笑む。ゆっくり開けると、そこにはサンドイッチが入っていた。手作りのようだ。

「あんた、最近顔色悪いよ。ちゃんと食べてないんじゃない?」

ズキン、と胸が痛む。たしかにクリスタルのことで食事が喉を通らない。

「ありがとう」

俺のために作ってくれたのだ。俺は微笑み、サンドイッチを口に入れた。卵とレタスの味が口に広がる。

すると、頭の中にクリスタルとの思い出が浮かぶ。過ごした日々は甘い。しかし、今は苦い思い出。
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