俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
そんなに広くないこの空間が、とても広く感じる。家に一人でいると、声の出し方を忘れるんじゃないかって思ってしまう。

いつも、リーバスは私の話を楽しそうに聴いてくれた。私も、リーバスの話を聴くのが好きだった。

「……どうしたらいいの?」

私の呟きに、答えてくれる人はやっぱりいない。



俺は、全ての準備を終えたので、森の中にそびえ立つ古城を後にすることにした。次にここを訪れるのは、また俺が世間を賑わせる時だけだ。

新聞は、俺が脱獄した当初は何度も俺のことを報じていたが、いつしか俺の記事は見かけなくなった。それ以上に、幸せで明るいニュースが載せられるようになった。世間の関心とはそんなものだろう。

しかし、俺は必ずまた世間を振り向かせてみせる。普通の脱獄犯のように、一生逃げ続けるだけの人生なんてごめんだ。

俺は、世界を翻弄させる。そしてまた戦争の道へと世界を引きずり込み、世界の頂点に君臨する。

それが、今の俺の望みだ。この望みを叶えるためならば、俺は悪魔に心臓を捧げよう。
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