俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
ああでも、俺は世界を翻弄させた時点でもうきっと人間ではないな。

新聞は、俺が逮捕された当初、俺のことを「人の皮を被った悪魔」と報じていたのだから。

そう、俺は悪人。物語には悪役は必要不可欠。ただの甘い恋物語なんて、吐き気がこみ上げてくるほど気持ち悪い。

悪人は、善人に必ず倒される運命。ならば、俺がその運命に逆らおう。

ショータイムは、もうすぐだ。



「よし!!パトロールに行くぞ〜!!」

レムが嬉しそうに立ち上がり、交番を出て行く。

俺は、何となくどこかに篭っていたい気分になっていた。そのため、しばらくパトロールには行かないとレムに言ったのだ。

レムは、俺とクリスタルのことを知っている。だから、普段のようにからかったりはしなかった。ただまっすぐ俺を見つめて、「わかった、無理するなよ」と言ってくれた。

俺はずっと交番ではデスクワークをしている。余計なことを考えなくていいから、心にできた傷を一瞬でも忘れられる。

ひたすら手を動かしていた俺は、ずっと見つめてくる視線に気づいた。

「お前はパトロールに行かなくていいのか?」
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