俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
会議室を見回した時、ふとおかしなことに気づいた。

リーの隣に知らない女性がいる。長い黒髪のきれいな女性。

「リー、その人は?」

俺が訊ねると、リーは「ああ!紹介するネ!」と笑顔を見せる。

「こいつはシンファ。私の妻ネ!助産師だヨ」

「初めまして!旦那がお世話になってマス!」

シンファさんは丁寧に頭を下げる。俺も「リーバス・ヴィンヘルムです」と言って頭を下げて、不思議に思った。

「ここはドリス国だぞ。なぜ…」

朱国はドリス国からずいぶん離れている。なぜシンファさんがいるのだろうか。

「私が忘れ物をしてシンファが届けてくれたネ!」

「せっかくだし、観光していきマス!」

シンファとリーは笑う。そのマイペースっぷりに、二人は本当に医者に助産師なのかと思う。

「ところで、クリスタルくんは?」

イワンが俺に訊ねる。

「臨月だからな。あと三日で生まれるんだ」

そう言う俺に、フローレンスが「待ってくださいな」と言った。
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