俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
軍服に身を包んだロビンに言う。ロビンはさっきからデスクワークの手を止め、俺をずっと見つめていた。

「あんた、さっきから休憩もしていない。休んだ方がいい」

俺の質問には答えず、ロビンはコーヒーを淹れ始めた。

「いいんだ。休んでいたら、余計なことを考えてしまう」

「お前、ほとんど寝てないんだろ!?それに、前よりやつれてる!!そんなリーバスを放っておけるわけがない!!」

ロビンはそう言って、俺を強く抱きしめた。久しぶりの人の温もり。クリスタルとは全く違う温もりだ。

「ロビン、離してくれ」

俺がそう言うと、ロビンは何も言わずに俺を離した。一瞬、ロビンの目が悲しげに揺れた気がする。

ロビン・ターナーとクリスタル・モーガン。同じ女性なのに、全く違う。温もりも、肌の柔らかさも、笑い方も、優しさの形もーーー。

俺がずっと求めているのは、やはりクリスタルだ。もう手の届かない場所にいたとしても、永遠に求め続けるのはクリスタル・モーガンなんだ。

俺は涙をこらえ、また仕事に戻る。集中すれば涙は自然と引っ込んで行くことはわかっている。
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