俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
クリスタル、愛してる…。

俺は、心の中で呟いた。



俺の心臓は、今興奮に満ちている。

ついに時は来たのだ。リーバス・ヴィンヘルムと、クリスタル・モーガンに復讐する時がな…。

俺は変装をして、クリスタルの家へと向かう。これからクリスタルの顔がどう歪むのか、リーバスはどれほど苦しむのか、考えるだけで楽しい。

今は穏やかな午後三時。クリスタルが体調を崩して家にいることはわかっている。

コンコンコン、と優しく扉をノックする。扉を破壊して力づくで襲うのも興奮するが、白昼堂々そんなことをすれば近所の住民がやって来て、俺は逮捕されてしまう。

誰にも守られておらず、弱っているクリスタル。今が復讐するチャンスなのだ。必ず成功させなければならない。もし失敗をすれば、クリスタルは警戒してしまう。

「……はい」

弱々しい笑みを浮かべながら、クリスタルが扉を開けた。変装をしているためか、俺の正体に気づいていないようだ。

「えっと……」

初めて見る顔に戸惑うクリスタル。俺は笑顔を作った。

「初めまして!今度こっちに引っ越して来る者です。引っ越した当日は片付けに追われていてご挨拶に伺えないかと思いまして…」
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