俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
「あなたは、かわいそうですよね。王のせいで、誰からも誕生を望まれなかった。城に閉じ込められ、自由など与えられなかった。初めてできた友達とも引き離され、保険として利用されそうになった…」

俺がそう話すと、クリスタルの目が恐怖を訴え始めた。

「……あなたは、誰ですか?」

震えるクリスタルの目の前で、俺は変装を解いた。



私の存在は、私が行方不明になったことで初めて明かされた。ジャックが逮捕されると、私が妾の子だったことなどが新聞に載せられ、王は国民からバッシングを浴びた。

しかし、リリーのことは私は記者に話さなかったし、新聞にも載っていない。どうして、彼は知っているの?

男性は、変装を解く。目の前で話していた人物は、あの脱獄犯だった…。

「ジャック!!」

私はナイフを突きつけられたことを思い出し、ソファから立ち上がって距離を取る。怯える私に、ジャックはゆっくりと近づいてきた。

「来ないで!!」

そう叫ぶ私の腕は、一瞬でジャックによって拘束されてしまった。腕は紐できつく縛られ、解けない。
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