俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
あの王のことだから、クリスタルにもしものことがあれば戦争を仕掛けてくる可能性が高い。また争いの道へ走れば、それこそジャックの思うツボだ。

ジャックの家は、戦場で立つ兵士として活躍したことで地位を手に入れたのだから…。もしタンバリー国が宣戦布告をしてきたら、間違いなく発狂してジャックは喜ぶだろう。

警察官だというのに、クリスタルを守れなかった……。

刑事に事情を聞かれている間、俺はずっと後悔しかしていなかった。

もしもまた戦争が始まったら、国民はどんな表情を見せるのだろうか。世界平和対策本部の議長だというのに、戦争へ導いた悪人だと思われるだろう。

クリスタルが誘拐されたことは、刑事たちと話し合って秘密にすることにした。むやみに情報を公開しては、クリスタルの身に危険が及ぶ可能性が高まる。

何より、王女が誘拐されたなど大事件だ。捜査は慎重に、かつ素早く行われるだろう。

俺は何も隠さず、全てを話した。クリスタルと喧嘩をしてクリスタルが家を出て行ってしまったこと、クリスタルから手紙などは一度も来なかったこと、クリスタルがどこにいたのかは全く知らなかったこと……。
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