俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
人質に死なれては困るからな。食事は摂ってもらわないとな…。

銃を向けると、クリスタルは顔を真っ青にして涙をこぼしながら首を皿に突っ込んで食べ始めた。

「あはは!王女様が下品だなぁ」

俺がそう言うと、クリスタルはまた泣き始める。

こいつ、こんなに面白かったんだな。



クリスタルが誘拐されてから、五日。俺はまだクリスタルの居場所がわからないままだ。

写真を透かしてみたり、火であぶってみたりしたが、クリスタルの居場所が出てくることはなかった。

どうしたらいいんだろう、と思い悩んでいると、家のドアがノックされた。ドンドンドン、と激しい勢いで、ドアが壊れてしまいそうだ。

「誰なんだ、こんな時に…!!」

俺は激しい怒りを覚えながら、ドアを開ける。そこにいたのは、予想もしていなかった客人たちだった。

「リーバス、大丈夫かよ!なんかすっげえやつれてるぞ!」

心配そうな顔をしたアレックスが、俺の痩せた頰に触れる。

「本当だネ!ちゃんと食べているかイ?寝ているのかイ?」

かばんから聴診器を取り出し、俺を診察しようとするリー。
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