俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
小町たちが来たことが夢ではなくてよかった…。

そう心から思う。

「ここは……寝室か？」

「はい。急に倒れてしまわれたので驚きました。イワンさんが運んでくださったんです。リーさんが診察してくださいました。疲労だそうです」

小町は穏やかな笑みを浮かべながらも、その目に心配を宿している。俺の口から、「すまない」とという言葉が自然と漏れた。

「なぜ、そのようなことを？」

小町が戸惑ったように訊ねる。俺は目元を手で覆い隠す。今にも泣いてしまいそうだった。

「お前は妊娠しているのに、わざわざ桜花国からここに来てくれて…。他のみんなもそうだ。俺のために……」

ふわりと柔らかな手が、俺の手に重ねられる。小町の凛とした声が言った。

「当たり前です。私たちは、世界平和対策本部の仲間であり、友達です。困っている時に助け合うのは当たり前です」

俺は手をどけて、小町の顔を見る。小町は優しげに微笑んでいて、その表情がクリスタルとどこか重なって……。

「…ううッ！」

俺の視界が歪む。温かい雫が頰を伝う。
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