俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
突然のことに、ロビンは驚いた表情になる。それはそうだろう。自分より小さな相手に胸ぐらを掴まれているのだから。

しかし、これはこれでまずい。俺は慌てて口を開く。

「リー、今すぐ手を離せ!」

リーは何も言わずに黙って手を離す。従ってくれたことに俺はホッとした。

沈黙を与えることなく、フローレンスが口を開く。その目は、とても真剣だった。

「ジャックはクリスタルに追い詰められるまで、誰もが紳士だと信じて疑いませんでしたわ。舞台女優をも騙せた彼は、きっと何も知らないあなた方には見つけることはできませんわよ」

ロビンの顔が赤く染まる。怒りを堪えているようにも見えた。

「大切なのは、クリスタルさんを無事に助けることではありませんか?クリスタルさんの命はたった一つしかないのですよ」

小町が静かに言う。部屋に重い沈黙が流れた。

対策本部のメンバーは、全員すがるようにロビンを見つめている。俺も口を開いた。

「ロビン、アレックスたちを捜査に協力させてやってくれないか?」

「えっ!?」

ロビンを始め、アレックスたちも驚いた表情で俺を見つめる。俺は思い出を振り返りながら、ゆっくりと話した。
< 40 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop