俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
クリスタルがこの屋根裏部屋を見つけたら、多少は整理をするだろう。おそらく屋根裏部屋は見ていないんだな。

屋根裏部屋には小さな窓が一つだけあり、そこから微かな光が見えている。

その窓の下に一枚の紙が置かれていた。紙は、まるで舞台に立つ役者を照らすスポットライトのように光に照らされている。

俺はその紙を拾う。そこには「ヴァイオレッド城」と血のような赤い文字で書かれていた。

「ここにクリスタルがいるということか！」

俺は確信する。紙は真新しく、最近置かれたものだとすぐにわかる。前の住民が残していったものではないということは明白だ。

「……クリスタル」

もうすぐで助け出すからな、そう心の中で呟いた。ずっとわからなかった居場所がわかり、頰が少し緩む。

「そうだ！レムにこれを見せないとな」

俺はそう言って、屋根裏部屋を後にしようとした。しかしーーー。

「リーバス！待って！」

俺の腕をロビンが強く掴んだ。その顔は怒りや悲しみが混ざっていて、俺は「ど、どうしたんだ？」と言うのが精一杯だ。
< 56 / 160 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop