俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
完璧な変装をし、俺は城から出る。城から出るのは久しぶりだ。

城に続く緩やかな坂道を下り、森の中を進む。ポストまで一時間もかかるのは不便だが、仕方がない。あの城は俺にふさわしい。

やっとポストにたどり着き、その中にゆっくりと手紙を入れる。

「ふふふ…。さあ集まれ!」

空は今日も、気持ちがいいくらい曇天だ。



俺とレムは、緊張した面持ちで警察署へと飛び込んだ。警察署の奥にある対策室へと足を急ぐ。

「クリスタル王女、誘拐事件対策本部」

そう書かれた紙が貼られた重い扉を開けると、スーツ姿の刑事たちが一斉に俺とレムを見つめた。刑事たちの目の下にはクマができていて、徹夜で捜査をしてくれていることが痛いほどわかる。

「失礼します!王女様の居場所を見つけました!」

レムが真面目な顔で敬礼をし、俺とロビンが見つけた「ヴァイオレッド城」と書かれた紙を刑事たちに渡す。

「ヴァイオレッド城!ここに王女様が…!」

「一気に進展しましたね!」

刑事たちはようやくクリスタルの居場所がわかり、少しホッとした顔を見せる。しかしそれも一瞬で、すぐに「いつ王女を助け出すか」という話し合いを始めた。
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