俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
誘拐事件になると、犯人は被害者を盾に逃げることもある。一刻の猶予もない。早く助けなければならない。

しかし、今回の事件は通常よりも難しい。なぜならーーー。

「警部!相手はあのジャック・グラスですよ。早く助けなければ、王女の身に危険が……」

「わかっている。しかし、ジャックは何も要求をしてくることもないではないか。奴の狙いが何かわからん」

そう。一般的な誘拐では、犯人は身代金など何かを必ず要求してくる。しかし、今回は手紙は一度送られてきただけ。しかも要求ではなく、クリスタルの居場所を見つけるということだ。

刑事たちは頭を悩ませているが、俺はクリスタルを誘拐した目的はわかっている。

「警部!ジャックがクリスタルを誘拐したのは、私とクリスタルに対する復讐です」

俺のその声に、刑事たちは全員俺を見つめる。俺はジャックが逮捕されるまでの経緯を全て話した。クリスタルが陰で捜査をし、俺が逮捕に協力したことを全て……。
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