俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
「ジャック様!そろそろ昼食にしましょう」

にこりと笑い不良の一人が言う。俺は少しめんどくさそうに「ああ…」と答える。そして訊ねた。

「クリスタルの様子はどうだ?」

「過呼吸を何度も起こしています。だいぶ精神的に参っているようです」

「そうか……」

もう監禁されて二週間以上だからな。まあこれが俺の望んだことだ。もっと苦しんでしまえばいい。

俺は舌舐めずりをして、リーバスに心の中で言う。

「リーバス、いつ来てもいいんだぜ?もう罠は仕掛け終わったんだからな。次はお前の体が傷つく番だ」

俺の笑い声が城に響いた。



予定通り一週間後の夕方、俺とレム、刑事たちとリー、そしてロビンはヴァイオレッド城を取り囲んでいた。

なぜ夕方かというと、夜が近づけば相手も戦いにくいと刑事たちが判断したからだ。

「大きな城だネ〜」

リーがため息をつく。

「お前は一回来たことあるんだろ?」

レムが俺に訊ねる。俺は「あ、ああ…」と頷いた。

あの時は、幸せだった。城での祭りにはしゃぐクリスタルはとてもかわいくて…。今では、ここがクリスタルを捕らえているのか……。
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