俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
たしかに、フローレンスの言う通りだろう。仲間が結婚するたびに、クリスタルともああなりたかったと何度も思うだろう。しかし、今の俺にはどう動けばいいのかなんてわからない。

クリスタルを傷つけてしまったのは、変わらない真実だ。たとえ嘘であったとしても、クリスタルは傷ついている。元凶の俺が、クリスタルを抱きしめていいものなのだろうか。そもそも、クリスタルがどこに行ったのかさえわからない。

あの変態王子…のところではないだろう。それは確信している。クリスタルがあの王子を好きだと思っていないことは明白だ。

アリーチェさんのところ…これはあり得るかもしれない。クリスタルなら、教会の仕事も手伝っているかもしれないしな。

俺が時計を見ると、もう会議の始まる時間だ。みんな席につく。

「今から、世界平和対策本部の会議を始める!!」

俺の静かな声が、会議室に響いた。



「はあ〜……。疲れた〜…」

一日中、近所の方の畑仕事を手伝い、私の体はあちこち悲鳴を上げている。私はベッドに倒れると、すぐに眠くなってきた。

畑仕事なんてやったことないから、余計に疲れた。でっかいいも虫もいたしね〜。

私は仰向けになり、両手を顔の前に持ってくる。私の左手には、何もはまっていない。いつもの私の指があるだけ。

リーバスが買ってくれた婚約指輪…どんなのだったんだろう。ふと、思った。
< 8 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop