俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
私の視界にあるものが映る。それは、かなり大きめの剣。手錠をつけられた状態だけど、私なら……。

私が座らされている椅子は、背もたれも肘置きもない。足が拘束されていない今はチャンスがある。

手錠の鍵を持っているのは、私のそばにいる男。あの男から鍵を奪えば手が自由になれる…。

緊張している胸を押さえつける。大丈夫、大丈夫と言い聞かせる。私だって、やればできる…!

私は勢いよく立ち上がる。突然立ち上がった私を見て、不良たちは驚いた顔を見せた。

私は素早く走り、剣を拾う。後ろを振り返れば不良たちがニヤニヤしながら私を見つめている。王女に剣など扱えないと思っているのだろう。

剣を鞘からは抜かない。抜いてしまうと彼らを傷つけることになってしまう。

一人が私を捕まえようと一気に間合いを詰める。私は横に体をずらし、不良の手に剣を叩きつける。

「ぐあっ!!」

不良の手から凶器が滑り落ちる。ゴドン、と大きな音が床に響いた。

私は不良の背後に回り、剣をもう一度叩きつける。不良は気を失ってその場に倒れた。
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