俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
レムさんから教わった剣術は、女の私でも簡単に敵を倒すことができる。レムさんに教えてもらって正解だった。

「クソ…!お前、ほんとに王女なのか!?」

壁際に追い込まれた不良が私を睨む。剣士と私が思い込んでも、肩書きは変えられない。私は口を開いた。

「はい、そうです。私の名前はクリスタル・モーガン。タンバリー国の王女です。そしてーーー」

リーバス・ヴィンヘルムの補佐を務めています、と答えようとして口を閉じる。今の私にそれを言う資格は存在しない。

私は剣を頭の上で振りかぶる。

「もう、想うことは許されないかもしれませんが……」

私は一気に剣を相手に向かって下ろした。

「私は、リーバス・ヴィンヘルムを愛しています」

相手はぐったりとその場に崩れ落ちる。私が大きく息を吐いた刹那、後ろから不良が一人襲いかかってきた。

「きゃあ!」

不良は私から剣を奪い、遠くに投げ捨てる。武器を失った私は、勝ち誇った笑みを浮かべる不良とゆっくり距離を取るしかない。

「残念だったな、後ろは壁だ!」
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