俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
あの時、リーバスからプロポーズされた時は、怒りや悲しみで何も見えてなくて、指輪なんてまともに見てなかった。

リーバスのことだから、きっとお店の人やイワンたちに相談して、一生懸命考えてくれたんだろうな。

もっと別の言い方はなかったのかな。リーバスが傷つかないように離れられる方法はなかったのかな。そんなことを今更考えたって、過去はどうにもならないのに…。

ロビンさんのことを言ってくれなかったことがショックだった。ただの幼なじみってリーバスは言ってたのに…。

苛立ち、悲しみ、後悔。いろんな感情が心に溶けて、混ざり合って、自分が一番思っている感情が何なのかわからなくなる。

気持ちの整理がつかないまま、私は眠りに落ちた。



俺は、地下室の扉を開ける。中は埃臭くて暗闇に包まれている。

「掃除くらいはしてやろう。……お姫様の部屋になるんだしな」

俺はニタリと笑った。



今日は会議が終わると、すぐに列車に乗ってラス国を後にした。

クリスタルがいないと、観光もパーティーも楽しめない。

ドリス国に着いたのは、真夜中を過ぎた頃だった。明日は休みだし、起きれなくても問題はない。

ベルのことはレムに任せてあるから問題はない。帰ろうとした刹那、「リーバス」と声をかけられた。
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