俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
「不良の一人が吐きました!ジャック・グラスは屋上にいるそうです!」

俺の心臓が音を立てる。ついに対峙する時が来たのだ。手が微かに震える。

「わかった。俺が向かう!クリスタル王女は無事に救出した!!」

俺がそう言うと、クリスタルが俺の隣に立つ。警官二人は「王女様!」とひざまずこうとしてクリスタルが慌てて止めた。

「クリスタル、ここは危険だ。すぐにこの二人とともに外へ行け」

俺がそう言うと、クリスタルは首を横に振る。

「私も、リーバスと一緒に戦いたい!」

俺は戸惑う。今までのクリスタルなら、絶対に言わない台詞だ。当然俺は止める。

「クリスタル、これから何があるかわからないんだ。これ以上危険な目に合わせるわけにはーーー」

そう言う俺の口に、柔らかなものが触れる。クリスタルが俺に優しいキスをしたのだ。

そのキスの感触すら、とても懐かしい。不安も戸惑いもかき消してくれる優しいキス……。

「私は、最後まで全てを見届けたい。それにリーバスに何かあったらって思ったら、きっと行動してると思う。…そばにいさせて?」
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