俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
「俺が大人しく逮捕されると思うか?」

俺は鞘から剣を抜く。銀色の刃に、夕日が反射して煌めいた。

「……お前は何をしたい?」

リーバスが警戒しながら俺に訊ねる。俺はニヤリと笑った。

「俺と勝負しろ。お前が勝ったら俺を逮捕できる。負けたらーーー」

俺はクリスタルを見つめた。その刹那、クリスタルは何かを察したようだ。

「リーバス!ダメよ!!」

「お前は死ぬ」

俺の剣は、切れ味の良い高級な剣だ。あっという間に相手を切り殺せる。俺は剣術は得意だからな。

「どうする?勝負をしないのであれば、俺はここにいる全員を殺すつもりだ」

拒否権は与えない。まあ、リーバスの答えは最初から一つだろう。

「……クリスタル」

リーバスは俺に背を向け、クリスタルの目を見つめる。俺はリーバスの無防備な背中しか見えていないが、きっと真面目な顔を恋人に見せているんだろう。

ああ、見ていて吐き気が込み上げてくる!

クリスタルは今にも泣き出しそうな表情だ。

「俺は戦う。お前をもう傷つけさせたりはしない。……必ず勝つと違う。だから、止めないでくれないか?」
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