君の世界に、私の願いを。
暖かい陽の差す春の日。
高校の入学式
鈴木未来(スズキ ミク)。
初日から校章を忘れてしまった…
朝早めに家を出たから、時間には余裕がある。
でも、家には帰りたくなくて公園のブランコに座った。
木とロープで作られた簡易的なブランコ。
曲がりくねった急な坂の上にある公園からは、街が一望できた。
今日から通う高校も見える。
校舎も校庭も大きいのに生徒はびっくりするくらい少なくて、もったいない。
この高校に行きたかったわけじゃない。
本当は仲良い子達がみんな行ってる高校にいきたかった。
でも、親に迷惑かけたくなくて地元の家から1番近いこの高校へ進むことにした。
「はぁ…」
この高校へ進んだ仲の良い友達は片手で数えられるほどしかいない。
地元の中学から進んだ女子は私だけ。
不安しかない…
風に揺られてブランコを緩く漕いでいると、公園の奥の木の辺りに人影が見えた。
木登りしてる、男の子…?
しかも制服。
何してるんだろう?
公園の時計を見るとまだまだ時間は余裕があった。
「何してるの?」
近くによって話しかけると、驚いたのか木から落ちてきた男の子。
「ねぇ!ビックリしたじゃん!いつからいたの!?」
外見からは想像できないくらい元気な男の子。
少し長めの黒髪にスラッと背の高いその子は、制服がとても良く似合っていてどこかのモデルさんのようだった。
「いつって、ちょっと前からいたけど…
大丈夫?手、血が出てる。」
木から落ちた時に手を擦りむいたらしい。
本人は ほんとだー! なんて自分の手を見つめていた。
公園の水道まで行ってハンカチを濡らす。
手の血を拭いてあげて、水玉模様の大きめの絆創膏を貼る。
「こんなのしかなくてごめんね。
でも貼らないよりはマシだと思うから……
嫌だったら保健室にでも行って普通の絆創膏貼ってもらって。」
そう言うと手に貼られた絆創膏をじっと見つめる。
なんか変わった子だな…
「ねぇ、なんで木登りなんてしてたの?」
「あれ!風船!」
思い切り指さした先には黄色の風船。
木の枝の先に紐が絡まっていた。
風船取るために木登りしてたの?
なんか可愛い。
高校の入学式
鈴木未来(スズキ ミク)。
初日から校章を忘れてしまった…
朝早めに家を出たから、時間には余裕がある。
でも、家には帰りたくなくて公園のブランコに座った。
木とロープで作られた簡易的なブランコ。
曲がりくねった急な坂の上にある公園からは、街が一望できた。
今日から通う高校も見える。
校舎も校庭も大きいのに生徒はびっくりするくらい少なくて、もったいない。
この高校に行きたかったわけじゃない。
本当は仲良い子達がみんな行ってる高校にいきたかった。
でも、親に迷惑かけたくなくて地元の家から1番近いこの高校へ進むことにした。
「はぁ…」
この高校へ進んだ仲の良い友達は片手で数えられるほどしかいない。
地元の中学から進んだ女子は私だけ。
不安しかない…
風に揺られてブランコを緩く漕いでいると、公園の奥の木の辺りに人影が見えた。
木登りしてる、男の子…?
しかも制服。
何してるんだろう?
公園の時計を見るとまだまだ時間は余裕があった。
「何してるの?」
近くによって話しかけると、驚いたのか木から落ちてきた男の子。
「ねぇ!ビックリしたじゃん!いつからいたの!?」
外見からは想像できないくらい元気な男の子。
少し長めの黒髪にスラッと背の高いその子は、制服がとても良く似合っていてどこかのモデルさんのようだった。
「いつって、ちょっと前からいたけど…
大丈夫?手、血が出てる。」
木から落ちた時に手を擦りむいたらしい。
本人は ほんとだー! なんて自分の手を見つめていた。
公園の水道まで行ってハンカチを濡らす。
手の血を拭いてあげて、水玉模様の大きめの絆創膏を貼る。
「こんなのしかなくてごめんね。
でも貼らないよりはマシだと思うから……
嫌だったら保健室にでも行って普通の絆創膏貼ってもらって。」
そう言うと手に貼られた絆創膏をじっと見つめる。
なんか変わった子だな…
「ねぇ、なんで木登りなんてしてたの?」
「あれ!風船!」
思い切り指さした先には黄色の風船。
木の枝の先に紐が絡まっていた。
風船取るために木登りしてたの?
なんか可愛い。