君の世界に、私の願いを。
時計を見ると8:33

今日の登校時刻は8:50

そろそろ学校行かないと…

「はぁ……」

「どうしたの?ため息なんてついて」

「ちょっと、学校不安で…初日から忘れ物しちゃったし…」

ふーんなんて言って手に貼った絆創膏をまた見つめる。

「……俺も怒られてばっかだし、なるようにしかならないから…大丈夫だ!」

この子もよく怒られるんだ…

似てるなーって少し思う。

「あの…「忘れ物って何したの!?貸せるのなら貸してあげる!俺は怒られるの慣れてるから!」

効果音が聴こえそうなくらいの勢いで振り向く。

慣れてるって…そんなに怒られてるのかな?

貸すって言われても迷惑かけるの申し訳ないし…

「大丈夫。私も怒られるの慣れてるから…」

「いいから!女子が忘れ物して怒られるよりは俺が怒られた方がいいの!」

どういう理屈かわかんないけど、確かに初日から怒られるのも…

でも校章なんてなくてもバレないし……

「黙ってないで!何忘れたの!?」

「…校章……」

あまりにも必死だったから言ってしまった……

男の子は自分の制服から校章を外して、

「俺の貸してあげる!」

と私の手の上にのせた。

「ありがとう…

終わったら返すね。」

うん!と大袈裟に頷いてパーッと明るい笑顔になった。


「みーくー!!!学校遅れるぞー!!!」

遠くから聴こえた声の方を向くと勇太がいた。

幼なじみ兼親友の桜野勇太(サクラノユウタ)。

時計を見るともう8:43

そろそろ行かないと……

気が重いなー。

「じゃあなー!俺時間まだだから!」

「またあとで!」



勇太の方へ走る。

「お前こんなとこで何してんだよ笑

俺がいなかったら学校遅れてたぞー笑」

お得意の王子様スマイル。

そうです。この人チャラいです……

「学校やだなーって思ってた。

勇太来なかったらここでサボってたかもね笑」

「さっきの知り合いなの?」

歩きながら不思議そうな顔して聞いてくる勇太。

「全然。さっき公園にいたからちょっと仲良くなったの。」

「へー。さっきの赤いネクタイうちの高校の3年だよ。」

3年…しかも同じ学校……

どうしよ。思いっ切りタメで話しちゃったし…

同じ校章ってことは同じ学校か!そっか。

なんで私気づかなかったんだろ……最悪……

「3年と仲良くなるとか、お前そんなフレンドリーだった?笑

めっちゃ人見知りじゃなかったっけ?笑」

「先輩だなんて知らなかったし…」
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