乙女の恋はいつも甘〜いアイツに振り回される
ある街のある高校。この高校にはかなり有名な人物がいる。その人物はーーー。

「よし!完璧!」

本田華恋(ほんだかれん)は鏡に映る自分を見つめた。

昨日発売された雑誌に載っていた髪型をしてみたのだ。華恋のふわふわした髪は、毛束がねじられ、ロープ編みがされている。我ながらうまくできたと華恋は満足した。

「あっ!忘れるところだった」

華恋は、かばんの中から黒いリボンのついたピンクのポーチを開け、中からリップクリームを取り出す。いちごの香りがする華恋のお気に入りのリップクリームだ。

それを丁寧に口に塗る。華恋の唇は潤った。

その時、一階から華恋をお母さんが呼ぶ。

「華恋!早く支度しなさい!創さんがもう来てるわよ〜!」

「は〜い」

華恋は返事をするとかばんを掴み、かわいらしいぬいぐるみや淡いパステルピンクの家具が置かれた自分の部屋を出る。

「行ってきま〜す!」

そう言って華恋が玄関のドアを開けると、普通の住宅街には場違いなリムジンが華恋の家の前に止まっていた。近所の人がチラチラと華恋を見つめる。

後部座席のドアが開き、シックな服を着た背の高い男性が姿を見せる。体型はモデルのようで、顔も華やかな顔立ちだ。
< 1 / 21 >

この作品をシェア

pagetop