乙女の恋はいつも甘〜いアイツに振り回される
「おはよう、華恋」

男性は優しく華恋に微笑む。

「お、おはよう」

華恋はドキッとしながら挨拶を返した。

この男性は、早乙女創（さおとめそう）。大企業の社長の息子で、将来は会社を継ぐことが決まっている。

華恋は高校三年生で、創は年上の大学二年生だ。名門大学に通っている。

そして、二人の関係はーーー。

「学校まで送っていくよ」

創はそう言いながら、華恋に近づく。そして耳元でささやいた。

「……僕の大切なお姫様」

華恋の顔が一瞬で赤くなる。そう、二人は付き合っているのだ。



華恋と創が出会ったのは、華恋のお父さんが働いている会社でだった。華恋のお父さんの会社は、創の家の子会社らしい。お父さんの忘れ物を届けに来た華恋に、創が一目ぼれをし、猛アタックされてお付き合いを始めたのだ。

「華恋、乗って？」

創はリムジンのドアを開ける。華恋は「そ、そんなことしなくていいよ〜」と恥ずかしくなった。

創は、華恋をよく学校へ送り迎えをしてくれる。普通の住宅街や庶民の通う学校に、ギラギラの高級車が止まったりするため、華恋は「将来玉の輿に乗る女の子」として有名だ。

創はよく華恋をお姫様扱いする。華恋もお姫様に憧れていた時期はあったが、実際に創にされてみると恥ずかしい。創はそんな華恋の反応を楽しんでいるようで、何度もお姫様扱いをしてくる。
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