乙女の恋はいつも甘〜いアイツに振り回される
華恋がそう言うと、創は「うん、華恋ならそう言うと思ったよ」と笑う。華恋も微笑んだ。

不意に、創が跪いた。

「本当は、デートに行けなくなったあの日に言うつもりだったんだ」

創はポケットから小さな箱を取り出す。そこに入っていたのは……ダイヤの指輪。

「華恋が高校を卒業したら、僕と結婚してください。必ず、あなたを世界一幸せにすると誓います」

華恋の胸が高鳴る。涙がまたこぼれた。

「……進路希望調査に、お嫁さんって書けるよ」

友達の言った冗談が現実になるなんて、と華恋は泣きながら笑う。

「必ず、幸せにします!」

華恋の薬指に指輪をはめる創は、いつもより頼もしく見えた。しかしーーー……。



「はあ〜…。緊張したよ〜」

食事が終わり、華恋を抱きしめる創はいつもの創に戻っていた。華恋は「もう!さっきまでしっかりしてたのに〜」と笑う。

「だって、もし振られたらって思ったら…」

そう言う創に、華恋はキスをした。

「私があなたを振るわけないでしょ?」

かっこよかった、と華恋は小声で言う。創は顔を赤くして照れた。

「毎日ハグとキスしようね!」

「はいはい」

「新婚旅行はドイツとスイスに行こうね!」

「はいはい」

「子供は三人作ろうね!」

「はいはい……えっ?三人?」

乙女の恋は、これから先も甘〜い彼に振り回されるようです。
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